横井 脱炭素の取り組みは、持続可能な社会の実現に向けた社会課題解決の一つとして進めています。北海道は土地も広大で人口密度も低く、雪が多い寒冷地です。お客さまの走行距離も長く、EV(電気自動車)の燃料供給拠点を北海道全域に配置するのは難しいので、脱炭素社会実現に向けた取り組みの一つとして、次世代バイオディーゼル燃料である「サステオ」を導入しました。
北海道マツダ販売株式会社 > MAZDA TIMES 「カーボンニュートラルに向けた取り組みを未来に向けて」
2025.11.1 北海道新聞全道版掲載
2025.11.1 北海道新聞全道版掲載
寒冷地における
ディーゼル×HVO による脱炭素社会
―実現に向けた有用性
「寒冷地におけるディーゼル×HVOによる脱炭素社会実現に向けた有用性」
をテーマに、
北海道マツダ販売株式会社 代表取締役社長
横井 隆と
株式会社ユーグレナ代表取締役社長
出雲 充氏が対談。
2025年11月1日北海道新聞に掲載された
対談記事をご紹介します。
[聞き手]
北海道新聞社 執行役員営業局長
三浦雅典
脱炭素社会に向けて
「サステオ」を導入
北海道マツダ(全道51拠点)は「持続可能な社会の実現」に向けた取り組みの一環として、軽油にHVO(※)51%を混合した次世代バイオディーゼル燃料である株式会社ユーグレナの「サステオ」を脱炭素社会実現に向けた取り組みの一つとして導入。
(※) Hydrotreated Vegetable Oilの略。廃食油などの生物資源由来油脂を原料として製造した水素化植物油
◆脱炭素社会実現に向けた両社のスタンスをお聞かせください。
横井 隆(北海道マツダ販売株式会社 代表取締役社長)
出雲 私どもは「人と地球を健康にする」というべンチャー企業としての使命があります。人を健康にするためのサプリメントや化粧品、地球を健康にするためのバイオ燃料、この二つをつくっています。私どもは会社をつくったときから脱炭素社会を目指していますが、CO2排出量削減効果が高く、軽油規格に適合した混合燃料の必要性からHVO51%混合の「サステオ」を開発しました。
今年の夏は北海道が1946年からの観測史上、最も暑かったと聞き驚きました。これでますます北海道も脱炭素や地球温暖化に関心が高まってくると思います。このタイミングで横井社長とお会いし、われわれべンチャー企業が北海道にどう貢献できるのか、未来の話ができればと思っています。
出雲 充 氏(株式会社ユーグレナ 代表取締役社長)
寒冷地での「サステオ」の優位性
◆ユーグレナ社の「サステオ」が寒冷地の北海道に適している理由を教えてください。
出雲 脱炭素にはさまざまな方法があり、地域に合ったやり方で日本全体の脱炭素化を目指すべきです。北海道はEVの普及率が日本で最も低いですが、これは地域特性に合っていないからです。EVのリチウムイオン電池は低温環境になると充放電効率が悪くなります。FAME(※)を使用したバイオディーゼル燃料は低温で固まりやすく、寒冷地での使用に制約があります。一方、「サステオ」はマイナス30度まで安定的に使えるHVOを混合したバイオディーゼル燃料です。そのため北海道の厳しい寒さでも問題なく使えるように開発しました。
(※) Fatty Acid Methyl Ester(脂肪酸メチルエステル)
既存のディーゼル車で脱炭素を実現
◆ディーゼルとHVOの優位性について
教えてください。
横井 市販のディーゼル車を改造することなく、そのまま使えるという点が大きな優位性です。 導入コストが安く、遠出して燃料が足りなくなった場合は普通の軽油を入れて帰ることができるため、燃料切れの心配がありません。これはEVや燃料電池車と大きく異なる点です。
出雲 既存の車で脱炭素するためのソリューションをユーザーの方に提供する。そのために既存のディーゼルエンジンを継続して使えるHVO混合燃料をつくることが重要でした。 もう一点は、産業界や行政のリーダーの皆さんへはBCP(※)の観点でも注目いただきたいです。 自然災害の際に日本ではガソリン車が多いことから、ガソリンを求めた長蛇の列ができますが、軽油ではそのようなことが起きません。また消防法上も、ガソリンに比べ軽油は取り扱いしやすい燃料であり、非常用電源などが必要な現場での活用も可能です。平時には軽油代替としてサステオで脱炭素し、有事には軽油への切替という、併用できる点も魅力です。
(※) Business Continuity Plan(事業継続計画)
札幌苗穂店にサステオ簡易給油機設置
◆寒冷地である北海道だからこそ、脱炭素社会実現に向けて、ディーゼルとHVOがキーになるということでしょうか。
横井 弊社の札幌苗穂店にサステオ簡易給油機を設置いたしました。弊社の「サステオ」導入により供給ルートができましたので、希望があれば比較的容易に導入が可能です。これは脱炭素社会に向けてCO2削減を約束している上場企業や行政などの需要を満たすこともできます。また、環境問題に関心の高い個人にもマツダへの興味関心を持っていただくきっかけになると考えています。 今後もこうした取り組みを進めていきたいと思っています。
出雲 北海道マツダさんの支店にサステオ簡易給油機があって、BCP対策として、皆さんのお役に立ち、そこが防災の拠点になるかもしれません。その最初の成功モデルケースの一店目になるのかもしれませんね。
サステオ簡易給油機


